修身教育について
  
修身教育の歴史を調べてみました。
 明治36年に文部省より国定修身教科書が発行され、この教科書に基づいて修身教育が行われました。修身教育は、明治、大正、昭和と3つの世代を通じて長い間日本人の精神形成の中心的な役割を担ってきました。そして、修身は、昭和20年日本の敗戦にともない、同年12月31日の占領軍指令「修身、日本歴史及び地理停止に関する件」で授業の終了と教科書の回収が決定され、日本の教育の現場から姿を消してしまいました。

"修身"の教科書には、吉田松陰を始め、勝海舟、加藤清正、米国初代大統領ワシントンなど、古今東西の偉人の話が載っていたのです。そして、その方々の具体的なエピソードを通して、"正直"、"勤勉"、"正義"、"公益"などの徳目を教えていました。私も小学校で修身の授業を受けました。いわゆる道徳教育を受けていたのです。私は、修身の教科は自分の人格形成に良い影響を与えてくれたと思っています。

戦後の教育は、"個性"を最重視し、修身で教えていた徳目や、日本の歴史、文化、慣習を蔑ろにしてしまったのではと思っています。その結果はどうでしょう。日本人の心は荒廃し、治安も悪化してしまいました。

現在はとかく戦前のことについては否定的な見方をされがちですが、教育に関しては、親から子へと語り継ぎ、世代間で共通の道徳観を持つことが出来た戦前の教育の方が良かったのではないでしょうか。

修身の教科で教えられた主な内容は次の様な内容でした。
「家庭のしつけ」「 親孝行」「 家族・家庭」「 勤労・努力」
「 勉学・研究 」「創意・工夫」「 公益・奉仕」「 博愛・慈善」
「 資質・倹約 」「責任・職分」「 友情」「 信義・誠実」
「 師弟 反省」 「正直・至誠」「 克己・節制」「 謝恩 」
「健康・養生」「愛国心」 「人物・人格」「 公衆道徳」
「国旗と国家」「 国際協調」などがあったようです。

では、どうして修身の教科が廃止されたのでしょうか?私は修身教科書の最初にあった「教育勅語」が"GHG"に好ましくなかったのではないかと想像しています。
教育勅語とは、1890年(明治23年)に発表された日本の教育の根幹と国民の培うべき徳行を説いた勅語で、正式には「教育ニ関スル勅語」とうものです。教育勅語には、日本人が祖先から受け継いできた豊かな感性と伝統的道徳観が込められており、人が生きてゆく上で心がけるべき徳目が、12の項目に別けられて簡潔に述べられております。当時の学生達は、皆、この教育勅語を暗唱でき、また、学校では修身を学び、道徳観を養っていました。ここでは教育勅語を原文のまま記載しますので皆さんご自分なりに内容を理解して下さればと思います。

教育ニ関スル勅語
朕惟フニ我カ皇祖皇宗国ヲ肇ムルコト宏遠ニ徳ヲ樹ツルコト深厚ナリ
我カ臣民克ク忠ニ克ク孝ニ億兆心ヲ一ニシテ世世厥ノ美ヲ済セルハ此レ我カ国体ノ精華ニシテ教育ノ淵源亦実ニ此ニ存ス
爾臣民父母ニ孝ニ兄弟ニ友ニ夫婦相和シ朋友相信シ恭倹己レヲ持シ博愛衆ニ及ホシ学ヲ修メ業ヲ習ヒ以テ智能ヲ啓発シ徳器ヲ成就シ進テ公益ヲ広メ世務ヲ開キ常ニ国憲ヲ重シ国法ニ遵ヒ一旦緩急アレハ義勇公ニ奉シ以テ天壌無窮ノ皇運ヲ扶翼スヘシ
是ノ如キハ獨リ朕カ忠良ノ臣民タルノミナラス又以テ爾祖先ノ遺風を顕彰スルニ足ラン
斯ノ道ハ実ニ我カ皇祖皇宗ノ遺訓ニシテ子孫臣民ノ倶ニ遵守スヘキ所之ヲ古今ニ通シテ謬ラス之ヲ中外ニ施シテ悖ラス
朕爾臣民ト倶ニ拳拳服膺シテ咸其徳ヲ一ニセンコトヲ庶幾フ

明治二十三年十月三十日
御名 御璽

この中で扱われている徳目は次の12の項目だと思います。

1.父母ニ孝(こう)ニ         親や先祖を大切にしましょう
2.兄弟(けいてい)ニ友(ゆう)ニ   兄弟仲良くしましょう
3.夫婦相和(あいわ)シ       夫婦はいつまでも仲むつまじくしましょう
4.朋友相信(ほうゆう)ジ       友達はお互いに信じあいましょう
5.恭倹(きょうけん)己(おの)レヲ持(じ)シ   自分の言動を慎みましょう
6.博愛衆(しゅう)ニ及ボシ    広くすべての人に愛の手をさしのべましょう
7.学ヲ修メ業(ぎょう)ヲ習ヒ      勉強にはげみ技能を身につけましょう
8.智能ヲ啓発シ             知徳を養い才能を伸ばしましょう
9.徳器(とっき)ヲ成就(じょうじゅ)シ    人格の向上につとめましょう
10.公益ヲ広メ、政務ヲ 開キ    広く世の人々や社会のためにつくしましょう
11.國憲ヲ重ジ、國法ニ遵(したが)ヒ   規則に従い社会の秩序を守りましょう
12.一旦緩急アレバ、義勇公(こう)ニ奉(ほう)ジ   気をもって世のためにつくしましょう

詔勅で示されたことで終戦後廃止となったなったのですが、内容は一部を除き、我々が学ぶべき内容が明確に示されている大切な教科であったと思います。
大切な教えの部分は、現代でも当然身に着けるべき内容だと若者たちに理解してほしいと、私は今も願っています。


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